中国の生活関連サービス大手「美団(Meituan)」が広東省深圳市で実際の利用者を対象に始めたドローンによる配送サービスは、今年6月時点で受注件数が2500件にまで上りました。
同社は深圳市の他に、上海市金山区政府とドローン都市低空物流運営モデルセンターの設立で協力する協定を結んでいます。
ドローンによる配送サービスは、ドローン・自動化空港・スマート調整システムが一体化した都市低空配送網を必要とします。
商品は受注したドライバーが店舗で受け取り、離着陸所から発送するため利用者からみれば一般的な配送サービスと特に変わる点はありません。
しかし車両を用いた配送と比較して道路状況の影響を受けにくく、利用者へ素早く商品を届けることができるというメリットがあります。
中国の道路網は特に大都市で飽和状態にあり、渋滞も発生しているため配送が遅れてしまうこともあるという問題の解決につながるメリットです。
深圳市の事例では、飲食店から目的地までの1.5キロメートルをわずか11分で配送したといいます。
美団のドローンはドローン管制(UTM)システムが計画する飛行ルートに従い、目的地の地域配送センターまで商品を運びます。
利用者は、そこの保管ボックスをスマホに表示された二次元コードで開けて商品を持ち帰るという仕組みです。
配送に用いるドローンは飛行高度が120メートル以下、毎秒10メートルの速度で、一度に最大2.5キログラムの商品を運ぶことができます。
今年の6月までに、北京市と深圳市で計20万回以上の飛行テストを終えたとのことです。
しかし、ドローン配送を中国で行う場合は多くの難題が存在します。
中国の都市は集合住宅が多いため、商品をどのように運ぶか、ドローンをどこへ着陸させて届けるかを考えなければなりません。
また、中国では物流サービスがかなり発達しているうえに人件費も低いため、新たな配送方法は一層のコスト削減と効率化を実現できなければ既存の配送方法に取って代わることができません。
法律においても、中国はドローン配送に関する法律が整備されておらずこれから各方面が協力して様々な企画やルールを定める必要があります。
他にも住環境に影響を及ぼさない離着陸所の建設、安全な飛行ルートの設定、複数期の効率的な飛行計画なども検討課題となります。
都市部におけるドローン配送の普及が進めば、想定外の状況にも直面する可能性があります。
都市配送の最終地点では必ず人とのやり取りが生じ、人に関する問題をテクノロジーで解決することは難しいものです。
ドローン事業責任者である毛一年氏のチームは、都市配送はドローンの応用において最も過酷な挑戦になると述べています。