仙台市は宮城野・若林両区の沿岸部に津波警報などが発表された際、ドローンによる避難呼びかけシステムの運用を新年度に始める方針です。
ドローンは高速通信規格「LTE」の専用回線で制御されており、全自動で運行するといいます。
東日本大震災発生時に避難広報中の市職員2人が犠牲となった教訓を生かし、人の手を介さない呼び掛けを実現するため当システムの導入が決定されました。
全自動運行ドローンによる津波避難広報や専用LTEによる機体制御は、世界で初めての取り組みとなります。
使用するドローンは中型の2機で、1機にスピーカー、もう1機にはカメラを搭載。
全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動し、気象条件から飛行の可否を自動で判断の上、南蒲生浄化センター屋上の格納基地から飛び立ちます。
「津波警報発表、避難を指示する」などと呼びかけながら、現地の映像を青葉区役所内の市災害情報センターへ送るとのことです。
市は沿岸部に避難広報用の拡声装置も配備していますが、海岸線付近は音声が届きにくいという問題があります。
遊泳中のサーファーらは緊急速報メールを受信できない場合もあるため、上空から広報の多重化も図るということです。
2016年から4回の実証実験を重ねており、ドローンから少なくとも200メートル先までは音声が聞こえることと、2機の同時制御が可能なことなどが確認されています。
本年度は浄化センターの屋上2ヵ所にLTEの基地局、センターと青葉区役所、中継点の市役所上杉分庁舎の屋上にマイクロ波通信設備を計4基整備しました。
通信設備は専用回線で災害時に混線の恐れがなく、確実に避難を呼びかけられるといいます。
今後はドローンと格納基地が届き次第、早ければ年度内にも運用試験を開始する方針です。
市危機対策課の佐々木朝一郎課長は「人の手による避難広報は危険が伴う。最新技術を活用し、安全かつ的確な避難につなげたい。南海トラフや日本海溝・千島海溝の地震で、津波が想定される他地域の参考になるよう取り組む」と話しています。