総務省、災害時に活用するドローンを全国の消防本部に配備へ

更新日: 2023.05.31 公開日: 2021.12.24
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地震や豪雨など、災害の被害状況を迅速に確認のうえ被害者救出へとつなげるため、総務省は全国の消防本部に動画の撮影などが可能なドローンを配備する方針を固めました。

今回の方針を固めたきっかけの一つは、今年7月に発生した静岡県熱海市での土石流災害とされています。

土石流が発生した日に浜松市消防局の「ドローン隊」が応援に入り、発災から20時間前後の翌朝に現場の撮影が行われました。

映像は東京の総理大臣官邸や総務省消防庁など関係機関にもリアルタイムで伝送され、捜索方針の判断材料になったということです。

ドローン隊を指揮した浜松市消防局の塚田大二郎消防司令は、「どれくらいの人が被害にあっているか、何軒くらいの家が被害にあっているかを把握し、土砂の流れた方向などを専門家に解析してもらうことで捜索範囲がかなり絞られてくる。今まではふかん的に現場を把握する方法が限られていたので、今後ドローンをさまざまな用途に活用できると期待している」と語りました。

熱海市の土石流災害だけでなく、去年7月の豪雨の際に熊本県芦北町で発生した工場火災、去年9月の台風10号の際に宮崎県椎葉村で起きた土砂崩れでもドローンが活用されています。

災害の現場で活用が進むドローンですが、機体性能としては動画撮影機能に加えて防水機能も求められます。

このような機種は数百万円と高額で販売されていることもあり、全国におよそ700ある消防本部のうち導入しているのは浜松市をはじめとする半数にとどまっています。

このため総務省は、今後4年かけて消防本部が購入する費用の7割を交付税で措置する仕組みを創設することで、すべての消防本部に災害現場での十分に活用できる機能を備えたドローンを配備する方針を固めました。

一方で、ドローンは操縦に一定の技術が必要なため導入しても十分に活用できていないケースもあるということです。

総務省は消防本部の職員を集めた研修を行うなどして、操縦できる職員の確保も同時に進めるとしています。