ドローンによる食材輸送に可能性 沼津・戸田でタカアシガニの運搬実験

更新日: 2023.05.26 公開日: 2021.11.02
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東京都の食品加工・販売業「杜の真ん中株式会社」は、ドローン輸送を活用したコロナ下での非接触型飲食店営業の可能性を模索しています。

「地方だからこそ最先端を取り入れて利便性を上げ、地域のPRにつなげたい」という意気込みのもと、沼津市戸田をモデル地区として実証実験を展開しました。

同社の吉次代表(戸田出身)は昨年5月の緊急事態宣言を機に都内との2拠点生活を始め、今年より戸田の特産品を使った食品開発会社を起こしました。

今回の実証実験は、キャッシュレス支払いとドローンでの商品輸送を組み合わせ、非接触型の営業形態を探ることが目的といいます。

ドローン輸送は広告代理店の株式会社電通と人工知能、ドローン管制システム開発の株式会社トラジェクトリーと連携しての実施です。

戸田の御浜海水浴場近くで、テイクアウト専門店を試験的に営業し、ドローンを使ってタカアシガニの運搬を行いました。

ドローンは直売所から湾を横断し、約1.3キロ先にある店舗近くまで5分ほどかけて移動。

ルート・飛行高度・離着陸地点などのデータが収集されました。

吉次代表は、「今回は戸田観光協会の協力で人通りの少ない場所に着陸できた。実用化には安全に着陸できる場所を選択できる環境整備が必要」と課題を挙げます。

ドローン以降の条件を緩和する改正航空法の施行を見据え、吉次代表は運航の完全自動化を目指すとともに、災害や医療、生活支援に関する活用策を探ります。

「戸田は海と山に囲まれ孤立しやすい立地。平時からドローンを飛行させて運航データを蓄積できれば、災害時にも即時に支援が可能な態勢を築ける」と実現に向けて実験を重ねる考えを示しました。

改正航空法は2022年に施行予定となっており、ドローンを有人地帯・人が目視できない範囲で自動航行させる「レベル4」が可能になります。

トラジェクトリーの小関賢次代表によると、近年地方自治体や大手企業が過疎地への薬の運搬や離島へのバーベキュー食材運搬など実証実験を積極的に進めているものの、「個人事業主の実証実験は珍しい」といいます。