全国で約8万キロメートルに及ぶ送電線の点検に小型無人機ドローンを活用するため、電力大手10社が鉄塔の位置情報などを共有し、データベース化することが分かりました。
これによりドローンの飛行ルートを設定し、自動飛行での点検を可能にするとのことです。
従来は有人で行っていた点検作業を効率化する他、将来は災害時の被害状況の把握や物流などにおいてもドローンの活用を目指しています。
送電線は鉄塔の間に電線を張り、発電所と変電所の間で大量の電気を高電圧で送る設備です。
送電線や鉄塔の点検は有人ヘリコプターで巡回したり、作業員が鉄塔に登ったりして行うため人件費やヘリの燃料費などが負担となっていました。
ドローンの自動飛行が可能になればそのような問題の解決につながるだけでなく、操縦する作業員の目が届かない遠距離の送電線も点検可能です。
また、ドローンに搭載したカメラで上空から点検した方が落雷による損傷も見つけやすいというメリットがあります。
鉄塔や樹木など障害物の位置や大きさといったデータを電力各社が出し合い、東京電力パワーグリッドや日立製作所、NTTデータなどが出資する事業体が飛行経路の設定や自動飛行のシステム開発を行います。
ドローンによる自動点検は2022年度に東電管内から始動し、2020年代後半にかけて全国へ広げます。
将来的には住宅へ電気を流す配電線や配電線を張った電柱の周辺も飛行経路として設定する方針です。
災害が発生しても、例えば土砂崩れで道がふさがれ現場に近づけなくなった場合、自動飛行のドローンで被災状況を確認することができます。