農業に関わる人は必見!ドローンで農薬散布する時にはどんな申請が必要?

更新日: 2019.06.03 公開日: 2019.06.26
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ドローンの活躍が期待されている分野の1つが農業です。これまで小型ヘリコプターでの農薬散布はありましたが、より使いやすいドローンの参入は大きなメリットを生み出します。ここでは、ドローンによる農薬散布のメリットと、導入に必要な許可申請について紹介します。

目次

ドローンを使って農薬散布を行うメリットとは?

ドローンによる農薬散布のメリットはコストの削減です。これまで農薬散布で使用されていた小型の無人ヘリコプターは1台当たりの価格が高く、1,000万円以上するものもありました。これでは機械の導入で人件費が削減できても、全体のコスト削減の成果はあまり目に見えません。

一方、農薬散布用ドローンは、安いものは100万円前後、大きいものだと200万円から300万円です。農薬散布用ヘリコプターと比較すると大幅なコストダウンが可能です。

それと同時に、機械で農薬散布をするメリット、つまり、短時間かつ少人数で広い範囲の農薬散布をできるという時間の短縮と人件費の削減も得られます。

 

農業に関わる人は必見!ドローンで農薬散布する時にはどんな申請が必要?

ドローンは航空法によって、特定の飛行空域と飛行方法をする際には許可申請が求められています。農薬という危険物を搭載し、それを空中から散布する農薬散布はドローン規制のうち「危険物輸送」と「物件投下」に当てはまります。さらに、日の出の前、もしくは日没後に作業をしたい場合は「夜間飛行」の申請も必要です。

ドローンの許可申請には、基本的な操作技術を要していることが求められます。それには最低でも10時間以上の操縦経験がなければいけません。それに加えて、「物件投下」の申請は5回以上の飛行経験が必要です。

農薬散布を導入したいと思ってもすぐに申請をして開始できるわけではなく、まずは飛行訓練を受けなければいけないことを覚えておきましょう。

 

時期が特定できないドローン農薬散布は包括申請が必要

通常、ドローンの許可申請は日時と場所を指定します。設備点検や動画撮影なら日時と場所の指定は難しくありませんが、農薬散布だとそうはいきません。

農作物の成長次第で農薬散布をする日が決まるので、ある程度は予想できても農薬散布予定日が変更になることがあります。その場合、この普通申請だと申請日以外は農薬散布ができません。農薬散布のための申請は、日時を指定しなくてもいい「包括申請」をするようにしましょう。

包括申請は操縦者、機体、操縦体制を決めるだけで申請ができます。日時と場所は広範囲で指定します。例えば、5月から1カ月間、○○町全域、と言った具合です。ただし、日時と場所の範囲が広くなればなるほど、申請の際の審査は厳しくなる傾向にあります。

 

申請は必要ないけれど…ドローン農薬散布に関する「指針」にも注目!

国土交通省が法令として申請を求めているのは「危険物輸送」「物件投下」「夜間飛行」という面です。この許可を得ていれば、法律的には問題はありません。

しかし、法令以外にドローンの農薬散布に対して農林水産省が「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」を出しています。

例えば、この指針の中では農薬散布を安全に行なえる操縦者を認定すること、安全のため、機体の性能確認をすること、事前計画書を作成し、提出することが求められています。

これはあくまで「指針」のため、申請をしていないと罰せられるわけではありません。平たく言えば、性能確認や認定をしていなくても農薬散布をすることは可能です。

しかし、この指針は操縦者だけでなく、近辺の人や物への安全に配慮したものです。そのため、義務付けられていないとはいえ、度外視はできません。安全なドローン導入のためにも農薬散布時には遵守すべき指針といえるでしょう。