農業においてドローンの活用が一般的になりつつあることをご存知でしたか?少子高齢化が進み、農業の従事者が減少している日本でドローンは大活躍しています。今回は、農業において、どのようにドローンが活用されているのか、今後の日本農業の展望についてご紹介します。
今の日本農業で最もポピュラーなドローン活用方法とは?
今の日本農業で、最もポピュラーなドローン活用方法は「農薬散布」です。
田畑に農薬を人力で散布するとなると、炎天下の中、数十キロものタンクを背負い作業しなければなりません。とても重労働です。田畑の面積が広くなればなるほど、それこそ人力では不可能になります。
そこで、利用されていたのが有人ヘリコプターによる上空からの農薬散布です。有人ヘリコプターを使うと、大規模な田畑にも一気に農薬をまく事ができます。しかし、コストが高くなることや、農薬が田畑以外にも飛散し人体への影響が出ることが懸念され、進んで活用することはできませんでした。
この有人ヘリコプターに代わって、農薬散布に活用され始めたのがドローンです。ドローンを使うことによるメリットはまず、ピンポイントで農薬がまけるということ。ドローンは非常に小回りがきくので、狙った部分にピンポイントで農薬がまけます。
そして、農薬散布に対するコストが下げられるということ。人件費もそうですが、ドローンは低空で飛行し農薬が田畑以外に飛散することがないので、農薬の使用量も下げることができます。
最後に、一番大きなメリットが、作業を軽くできるということです。作業自体は大まかに言うとドローンに農薬を積み、操縦するだけになります。農薬散布という重労働が軽作業に代わります。日本で農業を行う農家さんが一家に一台ドローンを所有する、そんな未来が来るかもしれません。
日本農業のIT化にもドローンは大活躍!
今の日本では、農業にIT技術を活用する「スマート農業」 が進められています。例えば、トラクターを遠隔操作・監視することにより、1人で4台までのトラクターを操作することができます。田植え機を自動運転化し、熟練の技術が必要な農作業を単純なものにしようとすることなどが挙げられます。
このように、スマート農業とはIT技術を活用して、農業の効率化を進めることです。ここでも、ドローンは活躍します。ドローンが日本農業において、活用される目的は主に農地に関するデータの収集と肥料・農薬の散布です。
具体的には、ドローンが上空から収集した作物の生育状態をデータで管理、必要なポイントに対して、ドローンを使って肥料を散布することなどに活用されます。
ここで紹介した技術は、ほんの一部です。将来的には日本農業で、自動運転の田植え機で苗を植え、ドローンで生育状態を管理、自動運転のトラクターで収穫する、このような完全スマート農業化が実現する可能性もあります。
日本農業での課題はドローン飛行に関する規制
ここまでで、日本農業でドローンが積極的に活用され始めていることは、ご理解頂けたかと思います。しかし、まだまだ課題はあります。
日本農業においてドローンを使用する場合、操縦オペレーターとナビゲーターが必要です。どちらも知識と経験が必要なので、農家の方が簡単にドローンを操縦することはできません。
また、農業で使用するドローンには機種ごとに免許が必要にある場合があり、ドローンを購入すれば使えるという状況ではないのです。
以上のドローンに関する規制が、日本農業が目指す「省人化」の妨げになっています。これらの規制はドローンを日本農業に導入しやすくなるよう、改正する方向に向かっています。
海外でのドローンの農業活用事例をご紹介
日本農業でのドローンの活用について紹介してきましたが、海外ではどのように活用されているのでしょうか。ここでは、農業大国アメリカでのドローンの活用についてご紹介します。
アメリカには、日本の100倍近くの農地があり、農家は広大な農地を所有します。そこでドローンは、主に農地に関するデータの収集・作物の生育状態の管理・農薬散布に使われています。
アメリカにおいても、やはり目指すところは農業の効率化と省人化です。ドローンが収集したデータを元に種をまき、上空から生育状態を管理、ピンポイントで農薬や肥料を撒くということが一般的になっています。
ここで紹介した日本やアメリカだけではなく、世界全体がスマート農業により、農業の効率化・省人化に向かっています。みなさんの食卓に並ぶ野菜やお米が、すべてスマート農業で作られたものになる可能性も、今後は高まっていくことでしょう。