ドローンの農業分野への導入が進んでいます。ドローンで農薬散布することのメリットとは、どういったものがあるのでしょうか?ドローンによる農薬散布の課題と併せて解説していきます。
1ドローンによる農薬散布のメリットとは?
ドローンによる農薬散布には、さまざまなメリットがあります。もっとも大きなメリットといえば、経費や身体的な負担を軽減できる点です。
従来、農薬散布はヘリによる空中散布、防護服を着ての散布などが主流でした。ヘリを使った場合、1機1,000万円を超えることも珍しくなく、膨大な費用がかかります。防護服を着て手作業で散布する場合、重いタンクを抱えて広い敷地をくまなく回らなければならないため、身体的な負担が大きいなどの課題がありました。
ところが、ドローンで農薬散布した場合、ドローンの購入費用といっても100万円〜200万円程度で済むため、農薬の費用を入れてもかなりのコストダウンが見込めます。もちろん、無人で飛行させることができるため、身体的な負担も大幅に軽減されます。
ドローンの農薬散布は1〜2人で十分に行える作業ですので、効率化や人件費の削減などにもつながります。農業従事者の高齢化や人手不足といった厳しい局面において、このように、ドローンの農薬散布は大きなメリットがいくつもあるため、導入する農家や参入する企業も増えてきています。
2メリットだけじゃない、ドローンによる農薬散布の注意点や課題とは?
ドローンによる農薬散布はさまざまなメリットをもたらしてくれる一方で、いくつかの注意点や課題も抱えています。まず、誰もが自由にドローンで農薬散布できるわけではないという点は、注意が必要です。
ドローンから「物を投下する」「危険物を輸送する」という場合、地方航空局長の承認が必要になります。ドローンによる農薬散布は、これらに該当するのです。
また、空港等の周辺であったり、人口集中地区に該当したりする場所などでは、地方航空局長や空港事務所長の許可が必要になるケースもあります。
さらに、農薬散布が可能なドローンオペレーターは「無人航空機を飛行させる者」であり、かつ「一般社団法人農林水産航空協会から安全かつ適正な空中散布等が実施できる技術や知識を有する旨の認定を受けた者」と規定されています。つまり農林水産航空協会指定の施設で講習等を受け、技術や知識などを認めてもらう必要があるのです。
こうした部分は注意点として押さえておかなければなりません。
また、ドローンは大型化しているとはいえ、一度に積載できる農薬の量や、飛行可能な時間はヘリなどに比べて少ないため、一度に広大な敷地に農薬散布することは難しいという点は課題と言えます。
高齢の農家の方などは導入が難しいことから、新たなビジネスとして参入する企業は増えていますが、このような課題は早急に取り組んでいかなければならないところです。
3それでもメリットが多い!ドローンによる農薬散布市場は拡大していく
いくつかの注意点や課題こそありますが、それでもドローンによる農薬散布がもたらしてくれるメリットは大きいことに間違いありません。
ドローンの自律航行による農薬散布なら、1haを約10分程度で終わらせることができると言われています。効率よくかつ敷地全体にくまなく農薬を散布することができますし、ドローンが飛行しているおかげで鳥獣対策も期待できます。
農業分野は人手不足や農業従事者の高齢化が深刻な状況となっていますが、新規参入が難しい分野でもあり、次世代の担い手がなかなか育っていないのが現状です。
そんな農業分野において、ドローンによる農薬散布がもたらしてくれるメリットは計り知れず、日本の農業を支えるという意味でも、大きな期待が寄せられています。ドローンによる農薬散布がもたらすメリットに、ぜひ注目してみましょう。