普及が進むドローン測量!ドローン測量の種類と何ができるかを徹底解説

更新日: 2020.05.03 公開日: 2020.05.11
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国土交通省が推し進める「i-Construction」の目玉と言えるのがドローンを使った測量です。今回はいまさら聞けないドローン測量とは何か、どんな種類があって何ができるかを徹底解説します。

 

目次

そもそもドローン測量って何?

ドローン測量とはドローンを飛行させ搭載しているカメラで空から撮影した写真を使った測量方法です。撮影した写真をデータ化し、専用ソフトを使ってデータを加工し図面や3Dモデルを作成することができます。

ドローン測量で得ることがでる3次元点群データは、GPSなど人工衛星から取得した位置情報とドローンの光学カメラやレーザーで取得した情報をもとに生成します。このデータを使って体積算出や3Dモデルの作成などを行うことができます。

複数の写真を組み合わせてオルソ画像を作ることもできます。オルソ画像は傾きや歪みを整えて、真上から見たような正射投影の画像のことです。様々な地図と重ね合わせて利用することができ、位置や面積、距離を正確に測ることができるので現場の様子が把握しやすくなります。

ドローン測量は従来の地上測量に比べると、圧倒的な短時間で広範囲の測定ができるというメリットがあります。また、崖や土砂崩れの現場など、人が入ることができない場所でもドローンを使えば測量作業を行うことが可能です。

人が入れない場所の測量にはセスナなどの航空機を使った測量が一般的に行われてきましたが、ドローンを使った測量により低コストで手軽に作業ができるようになりました。さらにドローンは低空飛行なのでより密度の高い画像やデータの取得が可能です。

ドローン測量はメリットが多く、国土交通省が推し進める「i-Construction」の目玉とも言える測量方法として注目されています。

 

ドローン測量には2種類ある!写真測量とレーザー測量の特徴

ドローン測量の主流は写真測量ですが、写真測量の弱点を克服したレーザー測量も導入が進んでいます。これら2種類のドローン測量についてまとめてみましょう。

写真測量

ドローン測量の主流でもある写真測量は、ドローンに搭載された光学カメラで画像を撮影し、そこから得られたデータをもとに測量します。「Phantom 4 Pro」のような比較的安価で一般的なドローンでも、高精度の測量が行えます。

ドローンの自動飛行アプリと画像解析用のソフトを使用すれば、大幅にコストを抑えて作業することができます。

写真測量では最初に空撮予定範囲内にGCPと呼ばれる基準点を設置し、ドローンをあらかじめ設定した飛行プランで自動飛行するようにして写真の撮影を行います。こうして精度の高い3次元の地形データを作成することができます。

レーザー測量

写真測量で弱点となるのが、樹木などの障害物が多い現場での測定です。障害物に阻まれて地面の撮影ができないと正確な測量ができず、必要に応じて森林の伐採を行わなければならないケースもありました。

レーザーを搭載することによって、障害物に邪魔されることなく地表にレーザーを当てて測量を行うことができます。レーザー測量は高額であることがネックになっていましたが、最近では急速に価格が下がって導入しやすくなったと言われています。

 

ドローン測量で何ができるの?活用事例を紹介

写真測量とレーザー測量の2種類の方法を使い分けたり組み合わせたりして、様々な分野で有効に活用することができます。

ドローン測量は建設現場において導入が進められています。特に土木工事の際にドローンを使えば、現場作業を必要以上に止めることなく短時間で土量算出を行うことができます。同じエリアを定期的に測量すれば進捗状況を把握することができ、工程管理に役立ちます。

要求精度の高い公共測量にもドローンが使用されるようになっています。道路や水路の新設、改良のために調査から実施設計に用いられる基礎資料を作成するための路線測量や、河川や海岸などの調査や維持管理のための河川測量にもドローンが使われています。

河川測量ではレーザー測量によって河川の細かな形状や正確な流量を測定することができ、増水時のシミュレーションがお行えるようになっています。人が入り込めない険しい場所もあるので、ドローンを使った測量に期待がかかっています。

土砂崩れなどの災害時でもドローン測量が積極的に運用されています。人が入るには危険なエリアでも、ドローンを使えば安全かつスピーディーに現場周辺の様子を把握することができ、被害拡大を防いだり避難勧告を行ったりすることができます。

被災地の状況や土砂量を3Dデータで可視化することができると、復旧計画の際の貴重な資料にもなります。

国土地理院も「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」を公表し、国を挙げて積極的にドローン測量を導入する姿勢を示しています。

ドローン測量は農業でも活用されています。3Dデータで牧草地における牧草の種類を見分けたり生育状況を見分けたりすることが可能です。

メリットの多いドローン測量は様々な業界で運用されるようになっており、用途はますます広がっています。写真測量とレーザー測量の2種類のドローン測量は、これからもさらにわたしたちの生活に身近なものとなることでしょう。