ドローン物流の社会実装への取り組みが活性化している現在。これには物流業界の人手不足や離島・山間部など過疎地への物流課題などが背景にあり、2022年にレベル4が実現予定ということも追い風となっています。
実際に実証実験が多く行われていますが、そのほとんどが離島・山間部で実施されており都市部や市街地での検証は少ないという状況にありました。
そんな中、一般財団法人先端ロボティクス財団は「ドローン物流は都市部で実現してこそビジネス性が向上し”空の産業革命”が加速する」という考えのもと、2021年6月21日に横浜しと千葉市をつなぐ約50kmの「東京湾縦断飛行(レベル3)」を実施しました。
<参考>
■小型無人機の飛行レベル
レベル1:目視内での操縦飛行
レベル2:目視内での自動・自律飛行
レベル3:無人地帯※での目視外飛行(補助者の配置なし)
※ 第三者が立ち入る可能性の低い場所(山、海水域、河川、湖沼、森林等)
レベル4:有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)
今回の飛行に使用された機体は、固定翼に凧が付加された「カイトプレーン」というきわめて耐空性の高い小型ドローンです。
30年近くもの飛行実績を有する無人航空機で、約50kmにも及ぶ飛行も実現し得ると期待されていました。
機体には自動操縦システムや気象データ表示機能、エンジン停止機能を搭載。
設置されたカメラにより機体の外の様子を監視しながら飛行します。
万が一通信機全てが途絶した場合、フェールセーフとして自動的に帰還するとのことです。
ESR株式会社が有するESR横浜幸浦ディストリビューションセンターを離陸地点、稲毛海浜公園第一駐車場を着陸地点として高度100mで約1時間飛行しました。
今回の「東京湾縦断飛行」は、首都圏における新たなビジネスを創り出す契機となる可能性を含んでいるとのこと。
例えば湾岸道路・アクアラインといった地上交通網とは異なる第3の「空」のインフラを整備することで、BtoBまたはBtoCの便利で低価格なビジネス瓶として利用することが可能となります。
また、慢性的な地上交通システムの渋滞回避に貢献できるとも言われています。
更に地震や台風などの災害発生時には、上空からの被災地調査や救援物資の搬送も可能です。
その実現には、平常時にドローン物流ハイウェイとして稼働していることが重要との見方を示しています。
将来的に、横浜市・川崎市などを中心とする京浜地区と千葉市・市原市などを中心とする京葉地区の各都市を結びながら、必要に応じて房総半島や三浦半島まで拡張する構想を描いているようです。