ドローンビジネスを考えている方は様々な法律を把握し対応する必要があります。今回はその中でも2015年に改正法が施行された「航空法」とドローンとの関わりについて解説します。
航空法の対象となるドローンの機種
2015年に施行された改正航空法では無人航空機、つまりドローンに関する飛行ルールが新たに定義されました。
航空法の対象となるドローンは機体本体の重量とバッテリーの重量の合計が200g以上になる機種で、200g未満の機種は対象外ということになります(あくまで航空法に限ってのお話です)。
トイドローンやミニドローンなどは200g未満のものも多いのですが、業務を目的としたドローンにおいては200g以上のものが大半を占めますので、これらのドローンはほぼ航空法の対象と考えて良いでしょう。
最低限押さえておきたいポイント
対象となるドローンに関して、航空法では次の3点を禁止しています。もし該当する場合は、事前に飛行許可を取得する必要がありますので覚えておきましょう(許可の取得方法については後述します)。
空港等の周辺の空域
空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面・転移表面等の上空域のほか、飛行場周辺の航空機の離着陸の安全を確保するために国土交通省が定める空域が飛行禁止空域となっています。
地表または水面から150メートル以上の高さの空域
地表や水面から150メートルの高さでの飛行が規制されています。たとえば、山の頂上から飛ばしたドローンを150メートル上空に上昇させ、そのままの高さで山の麓の方へ飛ばしてしまうと150メートルを大きくオーバーしてしまいますので注意しましょう。
人口集中地区の上空
人口集中地区とは「人又は家屋の密集している地域」のことで、5年ごとに実施される国勢調査の結果に基づいて設定されます。総務省統計局のサイトでも確認できますが、会員登録が不要なDJI社の安全飛行フライトマップがお勧めです。
上記に該当せず、自治体なども禁止していない空域は原則として飛行可能です。
また、上記に該当する空域や地区であっても「安全性を確保し、許可を受けた場合は飛行可能」としています。
そのほか、飛行禁止空域や人口集中地区の情報はブルーイノベーション株式会社のSORAPASSが提供しているドローン専用飛行支援地図サービスでも確認することができます(利用するには会員登録が必要です)。
飛行が禁止されていない空域であっても承認申請が必要な場合がある
ドローンの航空法で指定されている空港周辺や人口密集地区の上空域でなくても、下記のルールから外れて飛行させる場合は事前に承認を得るための申請が必要になります。
・日の出から日没までに飛行させること
・肉眼で直接目視可能な範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
・人(第三者)または物件(第三者の建物や自動車など)との間に30メートル以上の距離を保って飛行させること
・祭礼や縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
・爆発物など危険物を輸送しないこと
・無人航空機から物を投下しないこと
目視とは、飛行させているドローンを自分の目で見ることを意味します。双眼鏡を用いての監視や、監視者による監視は含まれませんので覚えておきましょう。
また音楽フェスや競技大会、夏祭りに花火大会など多数の人が集まるイベントはもちろん、小規模なイベントでも不特定多数が集まる催しに含まれると判断され、承認が必要になる可能性があります。
なお、ドローンで農薬散布を行う場合、上記「無人航空機から物を投下しないこと」に抵触します。たとえ航空法でドローンの飛行が禁止されていない空域であっても承認が必要となりますので併せて覚えておきましょう。
各申請方法については郵送または持ち込み、オンラインのいずれかになります。詳しい手順や必要な書類などは下記をご参照ください。
許可・承認手続きについて(国土交通省)
土日祭日を除いて10日前後かかるとしていますが、申請が増えるタイミングであったり、書類に不備があったりするとさらに時間がかかることが予想されますので、飛行が決まり次第、できるだけ早い段階で申請することをお勧めします。
急な空撮依頼が入ってしまった場合の対応などについても記載されていますので、一度目を通しておくと良いでしょう。
判断に迷ったら必ず事前に相談しよう
ドローンと航空法に関して押さえておきたいポイントを解説してきました。
人口密集地区は、今現在禁止になっていない地区でも次回の国勢調査で変わる可能性がありますのでチェックを忘れないようにしましょう。
また、もし承認や許可が必要かどうか迷った場合は安易に自己判断をせず、
無人航空機ヘルプデスク
0570-783-072(平日9:30~18:00)
に確認をするようにしましょう。