今、建設現場の測量でドローンが活用されることが多くなっています。では、ドローン測量にはどんな利点と欠点があるのでしょうか?徹底解説します。
ドローン測量って何?
ドローン測量とは、ドローンで空撮することによって行う測量のことです。
基本的なドローン測量の方法をご紹介します。
まず、GCP(Ground Control Point)という基準点を現地に設置します。その後、カメラを搭載したドローンで空撮します。
ドローン測量では、3次元点群データを取得するのが一般的です。3次元点群データは、ドローンの高度情報、位置情報、カメラから得られるデータを組み合わせることで得られます。
そして、この3次元点群データから、距離の計測や盛土の体積算出をしたり、3Dモデルやオルソ画像(傾きや歪みを補正した空中写真)を作成したりでき、それを建設の工程に生かしていきます。
ドローン測量の利点は?
ドローン測量には、利点もあれば欠点もあります。まず、利点についてご紹介します。
・地上測量よりも所要時間が大幅に短縮される
地上での測量は時間がかかるのが欠点となっています。それに対してドローンでは、広範囲の撮影を短い時間で行うことができます。ドローン測量では大体3、4haを空撮するのに、1時間もかかりません。これを地上で人が動いて行うと、大変な時間がかかってしまいます。
・航空機による測量よりもコストを抑えられる
ドローンの普及が進み、世界的に需要が大きくなっていることもあり、高性能なドローンが手頃な値段で入手できるようになり、ドローン測量のコストは低くなっています。条件によって数字が大きく異なる場合もあるのであくまでも目安ですが、コスト面が欠点のセスナの測量で100万円くらいかかるところを、ドローンなら十数万円の費用で測量できます。
・3Dモデルを容易に作成できる
ドローンなら、連続的に撮影した画像とセンサーが捉えた位置・高度情報により、高密度な点群データが得られ、それを専用ソフトで処理することで容易に高精度の3Dモデルを作成することができます。デジタル形式のデータなので、建設現場や事務所、クライアントとリアルタイムで共有でき、工事の効率化につながります。ドローンは低空を飛行しますので、航空機による測量よりもデータの解像度が高いのもメリットとなります。
・測量中に工事作業を止める必要がない
ドローン測量なら、トラックや重機など、動いているものが写真に入っても特に影響がないため、工事作業を中断せずに済みます。
・人が立ち入れない場所や危険な場所の測量も可能
地上測量では、人が入れない場所や危険な場所の測量は難しいです。でも、ドローンなら
上空から安全に測量を行うことができます。もちろん、ドローン測量でも現地にGCPを設置しに行かなければなりませんが、より少ないポイントで済むよう技術的な改良が進んでいます。
ドローン測量の欠点は?
次に、ドローン測量の欠点をご紹介します。
・あまり広くない土地や凹凸のない土地の測量はコストが割高になる場合がある
数十平方メートル程度の敷地や凹凸の少ない土地の場合、ドローン測量の利点をあまり生かすことができず、地上測量よりも割高になることがあります。
・バッテリー交換のために離着陸を繰り返す必要がある
ドローンはバッテリーによって飛行します。近年、バッテリーの性能が上がり、連続飛行可能時間が長くなってきていますが、広範囲な現場ではバッテリーを繰り返し交換しなければならず、少々手間がかかります。
・森林などの障害物がある場合は地面を測量できない
地面が森林などの障害物で隠れている場合、地面の画像データを取得できず、測量できません。ただ、レーザー測量を使用すればこの欠点を克服できます。しかし、レーザーの測量装置を搭載したドローンは非常に高額であるため、普及はあまりしていません。
・雨や強風時などには使用できない
ドローンのバッテリーは湿気に弱いため、雨の日に飛行することはできません。濃霧の場合、目視飛行ができませんし、カメラ映像もよく確認できないため、危険です。また、強風時には安定した飛行ができません。このように、ドローン測量は天候の影響を強く受けます。ただし、短時間で測量できるという利点もありますので、タイミングを選んで飛行させることでこの欠点は克服できるでしょう。
欠点よりも利点の多いドローン測量は普及が進んでいる!
現在、国はICTを建設現場に全面的に活用することにより、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組みを行っています。この取り組みのことを「i-Construction」と言います。
そして、i-Constructionの推進のために、国はドローン測量の導入を広めていきたいと考えています。ドローン測量には欠点もありますが、作業の効率化という観点で利点の方がはるかに大きいからです。
欠点よりも利点の多いドローン測量は、これからもさらに普及していくことでしょう。