2016年6月15日、ドローン操縦士協会(DPA)が設立されました。
ドローンの操縦技術に関する“認定ライセンス制度”を構築し、これから訪れるドローン全盛時代に向けて、航空安全の保全のための教育事業などを展開する目的で設立された民間団体です。
今回はそのドローン操縦士協会(DPA)についての概要をご紹介します。
ドローン操縦士協会(DPA)とは
日本でも、ここ数年のあいだにドローン急速に普及し、さまざまな産業分野においてドローンを導入した新たなビジネスやサービスなどが誕生しています。
「ドローンの可能性は無限」と言われるように、現在も日々新たなドローン活用方法が生み出され、実証実験などが行われています。
しかしながら、ドローンをコントロールする操縦士を見てみると、知識や技術・技量、ドローンに関連する法制などへの理解が普及の速度に追いついておらず、首相官邸や神社、城郭への落下、さらにはイベントに参加中の観客を負傷させる事故などが後を絶ちません。
そうした状況を鑑みた国土交通省は、2015年12月10日より改正航空法を施行するなど、国も徐々にドローンに関する法整備を進めています。
ですが、操縦士の意図とは無関係に墜落や落下による物損あるいは人身事故などは防ぎきれず、ドローン操縦士が増えれば増えるほど、そうした事故の数も増えていくことが予測されています。
総重量10kgを超えるドローンも少なくなく、地上数十メートルの高さから落下することを考えると甚大な被害を及ぼしかねません。
今回ご紹介するドローン操縦士協会(DPA=ディーパ)は、こうした現状を踏まえ、操縦士に、
・最新の技術的知識
・安全運転の技量
・整備技術
などを習得してもらい、これを“認定ライセンス制度”として運用することで、操縦士の知識・技術・技量不足および機体の不整備といった人為的ミスによる事故を未然に防ぐことができると考え、そのための教育事業の履行を目的として設立された団体です。
ドローン操縦士協会(DPA)の主な事業内容とは
ドローン操縦士協会(DPA)の事業は大きく「資格認定事業」「シンクタンク事業」「ドローン飛行場運営事業」の3つに分かれています。
資格認定事業
操縦士資格、インストラクター資格、整備士資格の3種類の認定資格があり、それぞれの資格は、政府主導で行われている「小型無人機に係る環境整備に向けた民間協議会」で定められたロードマップに基づいて設計されています。
現行は、
・レベル1「目視内飛行(手動航行)」
ドローン操縦士回転翼3級
ドローン操縦士回転翼3級インストラクター
が認定資格として運用されており、2018年春以降に、
・レベル2の「目視内飛行(自動航行)」
・レベル3「無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)」
・レベル4「友人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)」
が設計される予定になっています。
シンクタンク事業
シンクタンクは頭脳集団などと訳されることがありますが、ドローン操縦士協会(DPA)におけるシンクタンク事業は委員会活動を通じて、その活動状況および研究や開発の成果、産業用ドローンの普及に関する情報などをニュースレターや刊行物などで情報公開していくものです。
・PwCコンサルティング合同会社
・慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム
・株式会社グローバルキャスト
・株式会社 W TOKYO
などとパートナーシップを構築し、
・グローバルな視点での産業用ドローンの最新情報の発信
・ドローン社会に向けた人材育成、社会制度の整備に関する共同研究
・子供たちのプログラミング的思考の養成やドローンパイロットの育成
・ロボット・ドローンのショービジネスの活用における事業模索研究
など、ドローンにまつわるさまざまな活動を展開しています。
ドローン飛行場運営事業
ドローン操縦士協会(DPA)が東京都江東区に所有している屋内ドローン飛行場は、世界最大規模とのことで、オープン時に大きな話題となりました。
ここでは、主にDPA認定校が運営するドローンスクールが毎日開催されています。
豊富な経験と高い操縦技術を併せ持つインストラクターによる指導が行われており、最短半日コースからインストラクター養成コースまで、目的に合わせて受講することができます。
正会員(法人)になると、同施設の割引サービスを受けることもできます。
ドローン操縦士協会(DPA)が設計する“認定ライセンス制度”のたどり着く先とは
ドローン操縦士協会(DPA)の予測では、2020年にドローン操縦士が14万人を超えるとしています。
しかしながら冒頭でもお伝えしたように、操縦士の知識や技術・技量、関連法制の理解などが追いついておらず、教育事業の拡大は急務となっています。
そんな中、DPA認定校が運営しているドローンスクールは、ドローン操縦士協会(DPA)がオープンしてから10ヶ月経過した2017年10月の時点で受講者数2,500名を突破するなど、今最も注目されているドローンスクールの一つと言えるのではないでしょうか。
ドローン操縦士協会(DPA)の“認定ライセンス制度”は現段階では民間資格という形での発行になりますが、1級においては
「非常に高い要件での操縦精度が要求される(DPA理事長:小林一郎氏)」
ため、国家試験対象となる可能性があるとしています。
近い将来、ドローン操縦士協会(DPA)の1級認定資格が国家資格として創設されるかもしれないということです。
今後ドローンを活用した事業展開などを考えている方は、ぜひドローン操縦士協会(DPA)の情報をチェックしておいた方が良いでしょう。