害鳥の追い払いにドローンが有効として水田の上空を定期飛行 岩手県が実証

更新日: 2021.08.07 公開日: 2021.08.07
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岩手県農業研究センターは、水田の鳥害対策に有効なドローン(小型無人機)の飛ばし方を確立しました。

ドローンを水田内の2~3メートルの高さで定期的に決まったルートを飛ばすと、被害をなくすことができたとのことです。

ドローンは付属アプリを利用すれば自動で同じルートを飛ばせることから、操作に慣れていない人でも取り組めます。

 

水田上空のドローン飛行は、農研機構・農業技術革新工学研究センターと共同で行われました。

移植時期に水田で水浴びし、苗を傷めて欠株させる被害を沿岸部で起こしている「ウミネコ」と稲穂を食べてしまう「スズメ」が対象です。

 

複数の水田をブロックとしてまとめ、その上にドローンのルートを描きます。

ウミネコは一度逃げても戻るため、中央から外側にらせんを描くように何度も接近させる、スズメは戻ってくることがあまりないためジグザグのルート、といったように鳥の種類によってルートが変えられました。

1回の飛行時間は約5分です。

 

なお、ウミネコの場合は長さ30センチほどのプラスチックチェーンをドローンから垂らし、機体を揺らして追い払いの効果を高めます。

 

試験ではDJIのドローンとアプリを使い、農家圃場(ほじょう)で行われました。

ドローンは被害の起きやすい2、3週間の間、1時間間隔で1日に最大8回飛ばします。

結果、ウミネコ被害による欠株面積が4.6%あった水田もスズメの食害による減収が15%あった水田も被害はゼロになったとのことです。

 

また、経営面積とドローンの費用対効果についても検証がされました。

実証実験ではウミネコによる被害の場合、8ヘクタールの水田で10アール2,269円の所得増になります。

スズメによる被害の場合は、2.4ヘクタールの水田で同7,024円の所得増になるとしました。

 

同センターは「被害が少ない圃場では、飛ぶ頻度は試験より少なくてよい。被害状況に合わせて調節してほしい」と述べています。