トラックから大砲で打ち上げる新しいドローン「SQUID」

更新日: 2019.11.28 公開日: 2019.11.28
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新しい技術が話題になることが多いドローンですが、最近は新しいデザインも注目の的になっています。「SQUID(イカ)」と名付けられたドローンは、最初はラグビーボールのような形をしていますが、走行中のトラックの荷台に取り付けられた大砲から発射され、特定の高度に達すると翼を展開し、通常のドローンのように飛行し始めるのです。

 

SQUIDを開発したのは、NASAの無人探査機等の研究をしているジェット推進研究所(JPL)とカリフォルニア工科大学の共同チームです。動画の中で、チームは時速80キロで走行するトラックの荷台からSQUIDを打ち上げています。このような離陸方法を取ることで、ドローンはより速く目的地にたどり着くことができます。

 

例えば事故や火災が発生したとき、走行するトラックからSQUIDを打ち上げ現場に向かわせれば、SQUIDは救急隊や消防隊よりも早く現場に到着することができるでしょう。そして、いち早く到着したSQUIDからの映像を利用し、司令塔は素早く的確な指示を出すことができます。

 

さらに動画内では、SQUIDの利点が次のように説明されています。

建物が密集した場所でドローンを飛行させる際は、離陸方法に気を使う必要があります。離陸に失敗すればドローンだけでなく、周囲の物まで傷つけてしまう可能性があるからです。しかしこの大砲を使った離陸システムなら、ドローンが発射される軌跡をコントロールできるので周囲を傷つけることがなく、ドローンの飛行範囲を広げ、さらに不安定な場所からも発進させることができるのです。また、宇宙探査車からSQUIDを飛ばすことができれば、ミッションにおけるデータ収集の可能性を大きく押し広げることになるでしょう。

 

SQUIDという名前は、「Streamlined Quick Unfolding Investigation Drone(流線型で素早く翼を展開する調査用ドローン)」の頭文字をとって名付けられました。SQUIDは縦の長さが約25センチ、重さが約0.8キロで、発射され特定の高度に達した瞬間、10分の1秒以下の速度で翼を展開します。

 

SQUIDを打ち上げる大砲は、野球に使われるエアー式ピッチングマシーンを利用していて、その打ち上げ速度は時速56キロにも及ぶといいます。