農薬散布用ドローンの今後の展望と課題とは?規制緩和についても解説

更新日: 2021.11.24 公開日: 2020.07.29
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農薬散布用ドローンは日本の農業の課題を解決してくれるツールとして期待されています。では、ドローンはどんな農業の課題を解決してくれるのでしょうか、その普及はこれから進んでいくのでしょうか?

目次

ドローンで日本の農業の課題を解決?

現在、日本では農業従事人口が減少しており、人手不足が課題となっています。農業には「きつい」、「大変」というイメージがあるため、若者に人気がある職業とは言えず、その課題を克服するのは容易なことではありません。しかも、高齢化が進んでおり、今後は日本の人口自体が減少していくことが予想されているため、農業従事人口の増加を期待するのは現実的ではないでしょう。

ですから、農業の人手不足の課題を解決する重要な鍵となるのは、労働者を増やすことではなく、作業を効率化させることであると言われています。

特に、日本は温暖で多雨・多湿のために病害虫が発生しやすく、農家にとって防虫対策は欠かせないのですが、そのために行う農薬散布は非常に負担の大きい仕事となっています。このため、農薬散布を機械化できれば農家の負担をかなり軽減でき、課題の解決につながります。

今までも、無人ヘリコプターによる農薬散布は行われてきましたが、農地の場所によっては技術的に実施するのが難しい場合もあります。費用面でのハードルも高く、農家が無人ヘリコプターを購入するのは難しいので、外注することになります。でも、外注による農薬散布は時期が決められており、農家の側でタイミングを選ぶことはできないというデメリットがありますし、面積によってはコストがかさみます。

そこで、注目されているのがドローンによる農薬散布です。ドローンは無人ヘリコプターよりもはるかに安く入手できるため、農家が機体を購入して自分の好きな時に自分で農薬散布するということが可能です。自動飛行に対応しているドローンも登場しているので、自分で操縦する必要はありません。自動飛行の精度が上がってくれば、障害物があるような農地や斜面にある果樹園などにも対応できるようになるでしょう。

 

規制緩和でドローン普及の課題が解消された?

ここまで見てきたように、農業の現場にドローンが導入されていけば、農家の人手不足の課題の解決につながります。このため、国もドローンを普及させていきたいと考えており、昨年規制を緩和しました。ここで、どんな点が緩和されたのかを具体的に見てみましょう。

オペレーター登録が不要になった

以前は、ドローンで農薬散布する人は、オペレーターとして技能認定を受けて登録する必要がありました。そのためには、「農林水産航空協会」指定の教習施設で3日~5日にわたって実習や学科教習を受けることが必要で、費用も15~18万円くらいかかっていました。それなりにハードルの高い制度となっていましたが、これが廃止になりました。

機体登録が不要になった

農薬散布に使うドローンは機体の登録をしなければなりませんでした。これは、「農林水産航空協会」がドローンに必要な性能が備わっているかを検査して登録するという制度でした。同協会がドローンの最新技術の評価にあまり積極的ではなかったため、これが日本メーカーの農薬散布用ドローンの技術開発の意欲をそいでいると言われていました。でも、規制緩和でこの制度もなくなりました。

指定業者による定期点検が不要になった

農薬散布用として登録したドローンは、指定業者から年1回の定期点検を受けなければなりませんでした。これも不要になったため、農家はコストのかかる義務から解放されました。

散布計画書の提出が不要になった

ドローンで農薬散布をする場合、国や都道府県に散布計画書を提出する必要がありましたが、周辺への情報提供を前提にこれが不要になりました。ただし、「航空法」に基づく飛行の許可・承認の申請は今後も必要です。

農薬を使いやすくなった

以前は、地上散布とドローンによる散布とでは農薬の希釈倍率が異なるため、地上散布用に登録されている農薬をドローンで散布するには、残留農薬の安全性を試験して確かめなければなりませんでした。この点についても規制が緩和され、地上散布用の農薬の希釈倍率をドローンに適した濃度に変更する申請を行うだけでよくなりました。

補助者なしの飛行が可能になった

これまでは、ドローンで農薬散布を行う際に操縦者の他に補助者を配置することが義務となっていました。しかし、新たに制定された「無⼈航空機 飛行マニュアル」に従って、「立入管理区画」を設けるなどの一定の条件を満たせば、補助者を配置しなくてもよくなりました。

夜間や目視外での飛行が可能になった

自動操縦による飛行で、飛行範囲を制限したりトラブル時に危険回避機能が作動するように設定したりすることで、夜間や目視外でドローンによる農薬散布を行うことが可能になりました。ただし、目視内の農地と接続する農地でなければならない、第三者が立ち入る公道や住宅によって隔たれている飛び地ではあってはならない、などの条件があります。

このように、規制が緩和されたことにより、農家がドローンを導入するのに妨げとなっていた課題の多くが解消されました。

 

農薬散布用ドローンの今後の展望と課題

規制が緩和されて多くの課題が解消されましたので、これから農薬散布用ドローンの普及はさらに進んでいくと考えられます。

今後の課題としては、農薬散布用ドローンの性能を上げていかなければならない、ということが挙げられます。例えば、自動飛行の精度を上げれば、今までは対応は難しかった急傾斜地などへの農薬散布も行えるようになるでしょう。また、必要なところにだけピンポイントで散布する技術を向上させることによって、作業効率を上げたり環境への負担を軽減したりできます。

こうした課題克服のための改良は、ドローンの需要が大きくなればなるほどますます進んでいくと考えられます。今後のドローン技術の向上が楽しみですね。

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