農薬散布用ドローンには免許が必要?導入価格やメリットなど

更新日: 2021.11.24 公開日: 2018.02.06
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日本では2000年代から広まっていた農薬散布用ドローンですが、導入したことのない方にとっては、コスト面に加えて「免許が必要なのか」という点が気にかかるかと思います。

特に、ドローンは一見難しそうに見えますので「経験を積んで免許を取る必要がある」と考えている方も多いようです。まだまだ日常では見慣れないものですから、未知のものに対する不安が拭いきれないのも無理はありません。

そこで、本記事では「農薬散布用ドローンに免許が必要か」「ドローンを飛ばすには何をしなくてはならないのか」を、農家の方向けに解説していきます。

目次

農薬散布用ドローンは「免許不要」だが「申請」が必要

ドローンを操縦するのに免許は必要ありません。日本国内で操縦に免許が必要なのは、5GHzという帯域の電波を使用するドローンに限られます。農薬散布用ドローンのほぼすべては2.4GHzという免許の不要な帯域を利用していますから、問題はありません。

ですが、免許は必要ないものの、農薬散布をするうえでドローンは航空法における「無人航空機」の禁止事項に抵触しますから、まずはその申請をしなければなりません。具体的には以下の事項の承認が必要です。

 

農薬や肥料を積載するのは「危険物輸送」にあたり、散布は「投下」にあたる

まず、航空法でドローンがやってはいけない禁止事項をみていきましょう。

 

[1] 日中(日出から日没まで)に飛行させること
[2] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
[3] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
[4] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
[5] 爆発物など危険物を輸送しないこと
[6] 無人航空機から物を投下しないこと

http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
引用:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール

 

農薬散布にあたっては、上記の[5]と[6]が該当してしまいます。
農薬は危険物とみなされており、それを散布する行為は投下にあたるためですね。そのため、「この農地で農薬を散布する、危険行為ではない」ということを国土交通省に申請して承認を得る必要があります。

 

農薬散布のための申請方法

ドローンの操縦に免許が必要ないことは先ほど説明しましたが、国土交通省に農薬散布の承認を得る場合に気をつけることがあります。それが、農薬散布のための申請方法についてです。

通常、ドローンを飛ばすには個別に「何時ごろにどういう場所でどんな目的の飛行をする」と申請するのですが、農薬を散布するタイミングは時期によってバラバラです。そのため、この形式の申請は農薬散布には向いていません。そこで、「時間」ではなく「期限」つきで承認を得る「包括申請」を利用しましょう。

ただし、期限指定での申請は、時間指定と比較して承認までのハードルが高くなりますので、農地の場所や期限指定、目的などをしっかりと報告して申請しなくてはなりません。

ドローンは「空飛ぶ凶器」であることを理解しつつ、飛行許可申請には上記の航空法など、守るべきルールをしっかりと把握したうえで申請に臨みましょう。

 

ここまで、「ドローン操縦や農薬散布に免許は必要ない」という点と、「しかしながら、ドローンでの農薬散布には危険物輸送と投下の承認が必要」という点を紹介しました。

飛行承認に関しては、「都道府県包括申請」という形で申請することになりますが、代行業者もありますので、どうしてもわからないという方はそうしたサービスを使うのも手でしょう。

 

まとめ:ドローンは免許不要だが農薬散布には申請が必要。小規模農家には欠かせないパートナーになる?

ドローンの操縦には「免許」が必要ないものの、農薬散布をドローンに任せるには「危険物輸送」と「投下」の2つで承認を得る必要があります。どこの農地でどれくらい行うのかをしっかりと定めて、正しく申請するようにしましょう。

農薬散布におけるドローンは、「農薬散布用ヘリの5分の1のコスト」で、「操縦や手入れのハードル」も低く、「幅広い農地に対応」でき、なにより「作業が早い」というさまざまなメリットを兼ね備えています。農薬散布を楽にするパートナーとして、これからの主流になるのではないでしょうか。

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