日本化薬がドローン用緊急パラシュートを開発 空飛ぶクルマにも技術展開

更新日: 2021.07.13 公開日: 2021.07.13
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日本化薬株式会社は2021年6月14~16日に開催された「Japan Drone 2021」において、ドローンが故障した際の落下速度を低減するドローン用緊急パラシュートシステム「PARASAFE」を披露しました。

まずは総重量25kgのドローンに対応する品種を、同年12月に発売する予定とのことです。

なお、この品種は自立制御システム(ACSL)のドローン機体に対応するといいます。

他にも総重量15kgと100kgのドローンに対応する品種も開発しており、同年9月に試作モデルがリリースされます。

更に、総重量500kgを想定した空飛ぶクルマ用の「T2コンセプト」も公開しました。

 

空中を飛行するドローンは、突風やバッテリー切れなど不測の事態により落下するリスクも伴います。

業務用で使われるドローンは重量が重いこともあり、落下すると大きく破損してしまいます。

場合によっては数百万円以上もする高価な機体が破損してしまうだけでなく、落下する場所によっては使用者以外にも被害を及ぼす危険性があるのです。

 

「PARASAFE」は、何らかの理由で故障したドローンが落下する際に緊急パラシュートを展開。

そうすることで、落下速度を低減して安全に降下できるようにするシステムとなっています。

日本化薬株式会社はエアバッグのガス発生装置であるインフレータの大手サプライヤーであり、「PARASAFE」のパラシュートを広げる射出装置にもその技術が応用されています。

 

総重量25kgに対応する品種の外形寸法は、外径130mm×高さ154mm・重量1kgとなっており、ネジでドローン上部に固定して使用します。

ホバリング状態からプロペラを停止してドローンを落下させ、手動でパラシュートを展開する信頼性試験が50回行われており、その全てでパラシュートが展開することが確認されています。

また、飛行中のドローンの重大な故障を検知してプロペラを強制停止し、自動的にパラシュートを展開する「ATS(自動トリガーシステム)」の開発も進めているとのことです。

 

総重量25kgに対応する品種の場合、発売当初は数十万円の価格で販売予定となっています。

日本化薬株式会社の説明員いわく、「機体価格が数百万円になる業務用ドローンの万が一に対応できることを考えれば、十分な価値があると考えています。将来的に量産規模を拡大できれば10万円台での提供も可能でしょう」とのことです。

 

更に、1人乗りクラスの小型の空飛ぶクルマ向けを想定した緊急パラシュートシステム「T2コンセプト」も開発中です。

パラシュートの収容サイズは幅45cm×奥行き39cm×高さ15cmで、パイロットシュートを使って大型のメインパラシュートを引き出す2段構成となっています。

また、着地時の衝撃を緩和させるエアバックシステムもオプションとして用意されています。