ドローン測量の義務化によって何がもたらされるのか

更新日: 2020.04.11 公開日: 2020.04.18
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国土交通省によると公共工事の100平方メートル以上の測量はドローンの使用が義務化されるとのことです。今回はドローン測量を推し進める「i-Construction」について、ドローン測量のメリットや建設業界にもたらすものについて解説します。

目次

「i-Construction」とドローン測量の義務化

建設現場をより魅力的なものにしようとする取り組みである「i-Construction」が2016年に国土交通省によって導入されました。このプロジェクトには、建設現場にICTを活用するという取り組みも含まれています。

「ICT」とは「Information Communication Technology」の略で、情報通信技術を使ったコミュニケーションのことです。具体的には、土木現場においてドローンを使った3次元測量を行ったり、ICT建設機械を使った作業を行ったりして、短時間で質の高い建設作業の実現を目指しています。

2016年9月12日に首相官邸で開催された第1回「未来投資会議」では、建設業をテーマとした話し合いが行われました。その中で、建設現場の生産性を向上させるために「ドローンを投入」することが発言されました。

この流れを受けて、2017年から公共工事の100平方メートルの測量はドローンの使用が推奨されるようになり、その後義務化されるという流れになりました。

 

ドローン測量の義務化が建設業界の課題に与える影響

「未来投資会議」では、測量にドローンを投入することについて述べた後に、「3Kのイメージを払しょくし、多様な人材を呼び込むことで、人手不足も解消します」という発言がありました。

まさにこの3K(きつい、汚い、危険)は建設業界の課題ともなる悪いイメージで、人手不足をさらに煽るものとなっています。ドローン測量を導入することによって、効率化・少人化を図り、人手不足という問題の解消が期待されています。

ドローン空撮で得られたデータをパソコンで処理することによって、効率的で正確な3次元データの作成をすることが可能です。作業員が侵入するには危険な地域でも、ドローンを自動飛行させることによって安全に作業することができます。

さらに、ドローン測量の技術を身につけた人材が建設業界で働くという流れを期待することもできます。男女問わず体力にそれほど自信がないという人にも活躍する多くの場が与えられることになります。

ドローン測量による効率化で、少ない人員、少ない工事日数にもかかわらず従来通りの工事量の実施が実現できれば、賃金水準の向上や休日の拡大という結果ももたらされます。

こうして、今までの3Kのイメージを払しょくし、新しい3K(給料が高い、休暇が取れる、希望が持てる)のイメージを目指すことができます。

建設業界は職人気質が強いとも言われていて、経験豊富な職人たちの技術も無視することはできません。コンピュータ化させることのできる分野を組み込みつつ、より多くの人が情報やノウハウを共有することができれば、作業効率や生産性をさらに向上させることができるでしょう。

 

ドローン測量の方法とメリット

ドローン測量の方法

ドローン測量の方法にはいろいろありますが、一般的な流れをここで説明します。

1.撮影計画

測量現場での位置情報の受信状況や障害物などの調査を行います。専用ソフトウェアを使ってドローンの飛行ルートの計画や写真ラップ率などの設定を行います。

2.GCPの設定

地表基準点であるGCPを現地に設定します。トータルステーションやGNSS測量器を使って基準点測量を行います。

3.ドローン飛行・撮影

計画した飛行ルート通りにドローンを飛ばし、撮影を行います。

4.解析・出力

専用の解析ソフトウェアで写真データの解析を行い、点群データや3Dモデルを作成します。

ドローン測量のメリット

ドローン測量の導入により、従来の方法に比べて短時間・低コストで作業することが可能になりました。測量現場にもよりますが、作業時間は1/10、費用コストは1/5にまで削減できると言われています。

測量精度も誤差が±5cmという精密な測定値を実現していて、基準を十分に満たしています。ドローンメーカーもさらに精度の高い技術を開発していて、最近では「DJI Phantom 4 RTK」のようにGCPの設置をしなくても高い精度の測量ができるドローン機体が市場に出てきています。

ドローンを使えば人が入ることのできない場所や危険な場所での作業も可能になるというメリットがあります。写真測量で課題となっていた地表の見えない山間部でも、ドローンによるレーザー測量を使って高精度なデータ取得ができるようになっています。

ドローン測量の義務化が建設業界にもたらすメリットは計り知れません。ドローン技術の進歩や建設業界の変化から目が離せません!