ドローン測量のデメリットとは?ドローン測量の基本や今後の展望を交えて解説

更新日: 2021.11.24 公開日: 2020.02.14
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目次

ドローン測量とは

ドローン測量は、ドローンに搭載したカメラ、GPS、気圧計などから得られるデータを用いて測量をおこないます。搭載した機器から得たデータをもとに、専用のソフトで加工をおこない、「3次元点群データ」や、複数の画像をつなぎあわせた「オルソ画像」を作ります。

「3次元点群データ」や「オルソ画像」を使って、3Dモデルや図面の作成、体積の算出、距離や面積の計測をおこなうのがドローン測量です。

 

知っておくべきドローン測量におけるデメリット

測量に時間がかかったり、足を踏み入れられない場所は測量が難しいなどの課題点があった地上測量に対して、それらの課題点が克服できるのがドローンを活用した測量です。ただし、活用する場合はメリットのみならずデメリット面もしっかり把握しておかなければなりません。

長時間続けての飛行はできない

ドローンはバッテリーの関係で飛行できる時間が限られており、長くても30分~40分程度です。そのため、広範囲にわたる飛行には向いていないと言えます。

また、天候によっては風の影響を受け、バッテリーの消耗が激しくなりより飛行時間は短くなるでしょう。

ただし、ドローンごとに設定されている飛行可能時間より余裕を持って短めに切り上げたり、長時間の飛行が必要な場合には、予備のバッテリーを準備しておいたりすると、広範囲の飛行も可能です。

山などの地面が見えないところは正確な測量ができない

山など上空から地面が見えない場所では、木々の高さで計測します。このことから、正確な測量ができないことがデメリットとして挙げられます。

木々を切ることで地面をむき出しにすることは可能ですが、時間や手間がかかるので現実的ではありません。

また、レーザーを搭載したドローンを使うことで木々を切らなくても測量を可能としますが、レーザー機器は1,000万円程と高価で、導入するのに費用がかかってしまいます。

測量する範囲から、測量にかかる時間や費用を考えたうえで、測量方法を選択する必要があるでしょう。

手動で操縦する場合は操作が難しい

ドローン測量で精密なデータを手に入れるには、ドローンを安定した状態で飛行させなければなりません。つまり、オペレーターには高い操縦技術が必要なのです。

少し前まではこの点もデメリットとして挙げられていましたが、

ドローンが普及してきたいま、手動で難しい操縦をおこなわなくても、自動で飛行をしてくれる自動航行ソフトが増えています。

基本的な操縦技術や知識は必要ですが、ソフトを使い安定した飛行をすることで、高画質な画像や正確なデータを得ることができます。

このようなデメリットがあることを把握したうえでのドローン測量の活用が求められますが、ドローン技術も日々進化しているので近い将来デメリット面もある程度克服されることが期待できます。

 

デメリットを踏まえてもドローン測量を導入すべき理由

ここまでデメリットをあげてきましたが、ドローン測量の需要が高まっている理由には、たくさんのメリットがあるからです。ドローン測量におけるメリットについておさらいしてみましょう。

短時間で広範囲の測量ができる

地上測量では、1週間程度かかっていた作業がドローンでは1~2日程度と、1/6程の速さで測量ができます。

ドローンでの測量は、ドローンが上空から得た情報をPC上で処理する時間も早く、短時間で済むことから人件費削減にもつながります。

高画質な画像で精度の高いデータが得られる

より精度の高いデータを得るためには、高画質な画像を撮ることが必要です。

測量にはセスナなどを使った航空写真測量もありますが、ドローンはセスナよりも低空飛行ができるため、より地面に近く高画質な画像を得ることができます。

セスナなどの航空機を使った測量より安い

セスナを使用した測量の費用相場は、1時間10万円程です。測量箇所が数か所におよぶとその分費用もかさみます。

ドローンを活用した測量である場合、使用する機体によってもことなりますが、静止画の撮影で2万円~と、かなりコストを抑えることが可能です。

人が入れない場所もドローンでは測量できる

山や崖などの足場がわるい場所で地上測量をおこなうことは、危険を伴うため非常に困難でした。ドローンを活用した測量なら、上空から測量をおこなうので、高低差があるところでも簡単に測量することができます。

高低差があるような場所でも、一定の時間での測量が可能なため、事前の計画も立てやすくなります。

 

ドローン測量の今後

いくつかのデメリットこそありますが、近年人手不足が問題となっている測量現場に、ドローンの導入はおおいに役立ってくれるものとして、活用がすすめられています。

国土交通省では、測量や設計、検査といった事業で、ドローンなどICT(情報通信技術)導入の取り組みを推進するものとして、「i-Construction(アイ・コンストラクション)」があります。i-Constructionでは、測量だけでなく建設現場全体の生産性向上をめざしています。

これまでの建設現場は、きつい、危険、給料が安いといったマイナスなイメージが強くありました。

2016年に導入されたi-Constructionでは、魅力ある建設現場の実現「給料が良い、休暇がとれる、希望がもてる」を目標に、これまでの建設現場の状況が大きく変わろうとしています。ドローンも日々進化しており、機体の性能が上がればデメリット面も改善されていくでしょう。

しかし、ドローン測量をおこなうには、従来の測量の知識と合わせてドローンの知識も必要不可欠です。ドローン測量では、従来通り「測量士」や「測量士補」の資格が必要となります。

一般的な大きさのドローンを操縦するのに資格は必要ありませんが、建設現場でのドローン導入が進むと、大型ドローンでの測量が必要になってくることも考えられます。大型のドローンを操縦するには、「第3級陸上特殊無線技士」の資格が必要なので、持っておくと有利となる可能性が高いです。

また、ドローンスクールに通い「認定書」を手に入れることもおすすめです。ドローンを安全に飛行させるためには、操縦技術や知識が必要となります。ドローンスクール修了時の「認定書」は、能力を証明するものとなるので、今後ドローンが普及していく測量現場などでも役立つものになるでしょう。

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