ドローンを道路の上空で飛ばすことはできる?規制や許可が必要なケースを解説!

更新日: 2024.04.10 公開日: 2018.12.19
img

ドローンに対する飛行規制が敷かれる場所でうっかりドローンを飛ばすと、航空法などの法律や条例に抵触し、取り締まりの対象となります。

国内の至る所に網の目のように張り巡らされる道路網を避けてドローンを飛ばすことは難しく、道路上空でドローンを飛ばすことになれば、当然、規制が気になるところです。今回は、道路上空にドローンを飛ばす際の規制や許可を紹介します。

目次

道路上空のドローン飛行は法律で禁止されている?

道路は計画や設置、維持管理によって公道と私道に分かれます。公道は国や都道府県、市区町村などが計画、設置、維持管理を行い、私道は個人や企業が私有地内に設置し、維持管理するものです。

公道の計画や設置、維持管理は行政が行い、交通などの道路利用は道路交通法が適用され、各都道府県の警察が管轄します。道路交通法では絶対的禁止行為として「交通の障害となる方法で道路上に物を置くこと」や「道路上の人や車を損傷させる恐れのある物を投げるなどの行為」を規制しています。

また、道路交通法では禁止行為として、次に挙げる行為も規制しています。

  • 道路上で交通の障害となる方法で寝そべり、座り、しゃがみ、立ち止まること
  • 交通の頻繁な道路上で、球戯やローラースケート、またはこれらに類する行為をすること
  • 道路上の交通に危険を生じさせ、著しく交通妨害となる恐れがあると認められた行為

道路交通法違反の禁止行為になる得るドローン飛行のケース

道路上でのドローンの離発着は「交通の障害となる方法で道路上に物を置くこと」の規制に反する行為とみなされる可能性があります。またドローンのセッティング時や操縦も、道路上に座り、しゃがみこむことや立ち止まることを規制する禁止行為に抵触します。

さらに、球戯やローラースケートではないものの、ドローンの遊び方によってはそれらと同等の禁止行為にみなされる可能性にも注意が必要です。。

道路でドローン飛行するときに許可が必要なケースは?

ドローンの飛行に関する行為で道路交通法の規制にふれるのは、離発着やドローンの操縦を道路上で行う行為であることが判りました。ただし道路を管轄する警察署で許可を得ることで、道路上でもドローンを飛ばせる場合があります。

警察署への許可が必要なドローン飛行関連の行為

道路上で工事や作業、移動しない露店や屋台を出店する行為、祭礼行事やロケーションを行うことは、道路交通法で次のような行為として規制されます。

  • 道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為
  • 一般交通に著しく影響を及ぼす通行の形態や方法で道路を使用する行為

上記の行為を行う際は、所轄の警察署で「道路使用許可」を受ける必要があります。ドローンの飛行に関する行為も、工事、作業、ロケーション行為と同一視されるため、道路使用許可を受ける必要があります

道路上空でドローンを飛行させること自体は許可が不要?

道路上でドローンを飛ばす行為が交通に危険を及ぼし、交通妨害につながる判断されれば道路交通法に基づき罰則が科せられる可能性があります。

しかし、航空法を遵守した飛ばし方であればそもそも道路交通法に抵触する可能性は低いと考えられます。

道路には高さ制限があり、車両の高さは4.1メートル以内に制限されています。

そして航空法では、飛行時のドローンは航空法で人や物件から30メートル以上の離隔距離が定められているからです。。

 つまり、交通の妨げとならない場所でドローンを離着陸させたうえで道路上でドローンを飛ばすこと自体は、道路交通法上は問題ないこととなります。

ただし自己判断で許可を取らずにドローンを飛ばすと、周囲の人に通報されたり意図せず違反行為をしてしまったりといったトラブルのリスクも伴います。

飛行経路に道路が含まれている場合は、事前に所轄の警察署へ確認しておくと安心です。

また、道路交通法上は問題ないからといって、実際にドローンを飛ばす道路が航空法の規制範囲に該当すれば航空法に基づく罰則の対象となります。
道路上でドローンを飛ばすなら、道路交通法だけでなく後述する航空法の規制に対する理解もマストです。

道路上空でドローンを飛ばす際の申請方法

予定しているドローンの飛行方法が「道路使用許可」の対象となる場合、事前に管轄の警察署へ申請を済ませる必要があります。

道路使用許可を得る方法は、大きく分けて「自分で申請する」か「代行を依頼する」かの2通りです。

それぞれの申請方法について、以下より解説いたします。

自分で申請する

飛行を実施する道路の場所を管轄する警察署へ、自分で必要書類を提出する方法です。

まず、道路許可申請には以下の書類が必要になります。

  • 道路使用許可申請書
  • 道路使用(ドローンの飛行)の場所又は区間の付近の見取図

道路使用許可申請書については、警視庁のホームページで公開されているフォーマットを活用しましょう。

フォーマットの他、記載例や問い合わせ先などについても明記されています。

参考:道路使用許可|警視庁

場所や区間付近の見取り図は、Googleマップなどの地図を印刷してドローンの飛行経路を分かりやすく示します。

併せて、飛行経路の詳細や実施時の状況、保安要員などを明記した計画書も添付すると良いでしょう。

各種書類を2部ずつ作成し、警察署の道路使用許可申請窓口へ提出します。

窓口の受付時間は警察署によって異なりますが、多くの場合は9:00前後~17:00前後となっています。

提出に際して、手数料として2,000円~2,500円程度の証紙を買う必要がある点も留意しておきましょう。

申請から許可までの一般的な期間は1週間程度ですが、書類の不備や警察署との打ち合わせで時間がかかる可能性もあるため、期間に余裕をもっておきましょう。

行政書士に代行を依頼する

自分で許可申請を行う手間を省くなら、行政書士に依頼するという手もあります。

行政書士とは、官公署へ提出する許認可等の申請書類作成・提出手続きの専門家であり、道路許可申請も代行依頼が可能です。

ドローンの飛行場所が遠方で直接警察署へ足を運ぶことが難しい場合、大規模な飛行計画で自力での書類作成が難しい場合などは、代行依頼をおすすめします。

ドローンを飛行させるなら道路より私有地の方が規制はゆるい?

私有地内で操縦し、離発着を行うドローンが、公道に出た場合でも道路交通法にふれることはないと判りました。しかし仮に道路交通法をクリアしても、ドローンの飛行には航空法や各自治体の定める条例によって規制されています。

私有地内でも仮に第三者の存在があれば、30メートルの距離規制は有効となりますし、公園内などは各行政の定める条例でドローンの飛行が規制されるケースも少なくありません。

道路上空でドローンを飛ばすために知っておきたい航空法の規制

先述したように、道路交通法上の規制対象とならない飛行方法だったら、道路上空でドローンを飛ばすこと自体は問題ありません。

かといって完全に無許可で飛ばせるわけではなく、航空法で規制されている場所・方法に該当する場合は国土交通大臣への許可申請が必要になります。

ここでは、道路上空でドローンを飛ばす場合にも知っておきたい航空法の規制内容について解説いたします。

航空法で規制されている飛行場所・飛行方法

航空法では重量100g以上のドローンに対し、飛行場所や飛行方法の規制を設けています。

規制されている飛行場所・飛行方法は、以下の通りです。

【飛行場所】

  • 150m以上の高さの上空
  • 空港周辺
  • DID地区(人口集中地区)上空
  • 緊急用務空域

【飛行方法】

  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人・物・車などから30m未満の距離での飛行
  • 催し場所での飛行
  • 危険物輸送
  • 物件投下

上記に該当する場所や方法でドローンを飛ばす場合、所定の手続きを済ませて国土交通大臣から許可・承認を得る必要があります。

なお、緊急用務空域に関しては原則として飛行禁止であり、申請しても飛行許可を得られるケースは限られています。

航空法の規制を踏まえると道路上のドローン飛行は現実的に難しい

上述した場所・方法でドローンを飛ばす行為は「特定飛行」と呼ばれており、実施には許可申請の他に、補助者の配置や第三者が飛行経路に立ち入らないようにする措置(立入管理措置)も必要です。

道路上空でドローンを飛ばすとすれば多くの場合、特定飛行の中でも「DID地区」か「人・物・車などから30m未満の距離」のどちらかに該当することとなります。

しかし無断で道路上に補助者を配置のうえ通行人や車両の立入管理を行えば、交通に混乱を招き障害を及ぼす道路交通法違反行為とみなされる恐れがあります。

つまり道路上空でドローンを飛ばすなら管轄の警察署へ相談のうえ道路使用許可を取り、なおかつ国土交通大臣による許可申請も取るという事前準備が必要です。

かなり大掛かりな準備を要するため、個人的な趣味で道路上空にドローンを飛ばすことは現実的に考えて困難と言えます。

まとめ

道路上空でドローンを飛ばす場合、道路交通法上は問題なくとも航空法の規制に抵触する可能性があります。

航空法で規制された飛行を実施するとなれば許可申請に加えて補助者の配置や立入管理措置も必要となり、結果的に道路交通法に抵触することになります。

そのため、道路上空でドローンを飛ばすなら法知識を身につけ、問い合わせや申請などの事前準備を入念に行うことが大切です。

この記事と一緒によく読まれている記事